美容室の内装デザインの考え方|
おしゃれだけで終わらない店舗づくり7つのポイント

美容室を開業するとき、
「おしゃれな内装にしたい」
「Instagramで目を引く店舗にしたい」
「高級感のある美容室にしたい」
と考える方は多いと思います。
もちろん、美容室にとってデザインは重要です。
ただし、内装デザインを見た目だけで決めてしまうと、実際に営業を始めてから、
「動線が使いにくい」
「収納が足りない」
「照明のせいで髪色が見えにくい」
「想定していたお客様と空間の印象が合わない」
「内装費をかけたのに売上につながらない」
といった問題が起こることがあります。
美容室の内装は、単なるインテリアではありません。
コンセプト・ターゲット・サービス・価格・スタッフの動き・お客様の体験を、一つの空間として形にするものです。
この記事では、美容室の内装デザインを考えるときに押さえておきたい7つのポイントを、順番に解説します。
この記事でわかること
- 美容室の内装デザインを考える基本的な順番
- コンセプトを空間へ落とし込む方法
- ターゲットに合った内装をつくる考え方
- 動線・レイアウトとデザインを両立するポイント
- 色・素材・照明を決めるときの考え方
- 予算をかける場所と抑える場所の決め方
美容室の内装デザインは「おしゃれ」から考えない
内装デザインを考えるとき、最初にPinterestやInstagramで参考画像を探す方は多いと思います。
それ自体は悪くありません。
ただし、
「この写真が好き」
「このタイルを使いたい」
「この照明がおしゃれ」
という部分から先に決めてしまうと、店舗全体に一貫性がなくなることがあります。
内装デザインで最初に決めるべきなのは、
どんな空間にしたいかではなく、どんな美容室をつくりたいか。
です。
たとえば、
「忙しい大人女性が静かに自分の時間を過ごせる美容室」
なら、
席数を詰め込みすぎない。
隣席との距離を取る。
照明を落ち着かせる。
音が響きにくい素材を使う。
収納を見せすぎない。
という判断につながります。
一方、
「短時間で通いやすい都市型サロン」
なら、
回転しやすい動線。
分かりやすい受付。
効率的なセット面配置。
スタッフが移動しやすいバックヤード。
の方が重要になるかもしれません。
つまり、
コンセプトが違えば、正しい内装も変わる
ということです。
→ 03|売れる美容室のコンセプトの作り方
POINT01|ターゲットから空間を考える
内装はオーナーの好みだけで決めるものではありません。
「誰に来てほしい美容室なのか」
によって、心地よいと感じる空間は変わります。
たとえば、
20代中心のトレンドサロン。
30〜40代の大人女性向けサロン。
男性専門サロン。
髪質改善に特化したサロン。
高単価のプライベートサロン。
では、必要な雰囲気も違います。
見るべきなのは、
年齢や性別だけではありません。
お客様が、
どんな服を着るのか。
どんな店を好むのか。
休日をどう過ごすのか。
美容室に何を求めるのか。
どのくらいの価格を納得して払うのか。
まで考えることで、空間の方向性が見えてきます。
重要なのは、
「自分が好きなデザイン」ではなく、「ターゲットが価値を感じるデザイン」
になっているかです。
→ 24|美容室のターゲット設定方法
→ 29|美容室のペルソナ設計とは?

POINT02|コンセプトを「空間のルール」に変換する
コンセプトが決まったら、その言葉をそのまま内装にすることはできません。
必要なのは、
コンセプトを空間のルールへ変換すること
です。
たとえば、
「自然体で過ごせる」
というコンセプトなら、
自然素材を使う。
色数を抑える。
光を柔らかくする。
植物を取り入れる。
といった表現が考えられます。
ただし、
「自然体=木を使う」
と単純に決める必要はありません。
大切なのは、
なぜその素材・色・形を選ぶのか説明できること。
コンセプトが空間へ落とし込まれていれば、
床。
壁。
天井。
家具。
照明。
サイン。
植物。
小物。
まで判断基準が揃います。
結果として、店舗全体に一貫性が生まれます。
POINT03|お客様の体験を時間軸で考える
美容室のデザインは、写真で見た一瞬だけではなく、
来店から退店まで
で考えることが重要です。
お客様は、
外から店舗を見る。
入口を見つける。
扉を開ける。
受付する。
待つ。
カウンセリングを受ける。
セット面へ移動する。
シャンプー台へ移動する。
施術を受ける。
会計する。
店を出る。
という順番で空間を体験します。
たとえば入口が分かりにくければ、最初の印象で不安になります。
受付から店内全体が見渡せすぎれば、落ち着かない人もいます。
シャンプー台がセット面から丸見えなら、リラックス感が弱くなる場合もあります。
だから内装デザインでは、
「何が見えるか」だけでなく、「いつ、何を感じるか」
まで考えます。
これが顧客体験を設計するということです。
POINT04|動線とデザインを一緒に考える
美容室では、見た目と同じくらい動線が重要です。
美容師は営業中、
セット面。
シャンプー台。
バックヤード。
カラー剤。
タオル。
レジ。
を何度も行き来します。
毎日何十回も繰り返す移動が数歩長いだけでも、積み重なると大きな負担になります。
また、
スタッフ同士の動線がぶつかる。
お客様とスタッフの移動が交差する。
ワゴンを置く場所がない。
掃除しにくい。
といった状態も、営業効率を下げます。
だから、
デザインを決めてからレイアウトを当て込むのではなく、レイアウトとデザインを同時に考えることが重要です。
→ 09|美容室のレイアウト設計

POINT05|色・素材は「好き」ではなく役割で選ぶ
色や素材は、美容室の印象を大きく左右します。
たとえば、
白。
ベージュ。
グレー。
木。
モルタル。
石。
金属。
同じ色でも、素材によって感じ方は変わります。
ただ、色や素材を選ぶときに重要なのは、
単体でおしゃれかどうかではありません。
店舗全体の中で、
どんな役割を持たせるのか。
を考えます。
たとえば、
床は耐久性。
壁はブランドの印象。
セット面まわりは清掃性。
受付は第一印象。
バックヤードはコスト。
というように、場所ごとに優先順位は違います。
さらに、美容室では薬剤、水、髪の毛なども扱うため、
汚れにくい。
掃除しやすい。
傷が目立ちにくい。
といった実用性も重要です。
美しさとメンテナンス性の両方を見る。
これが店舗素材を選ぶ基本です。
ブランドカラーについては、
→ 27|美容室のブランドカラー設計
で詳しく解説します。
POINT06|照明は「明るさ」ではなく目的で分ける
美容室の空間づくりで、特に重要なのが照明です。
照明は単に店内を明るくするための設備ではありません。
場所によって役割が違います。
セット面では、
髪色や肌の見え方。
シャンプー台では、
リラックスできる明るさ。
受付では、
店舗の印象。
通路では、
安全性。
商品棚では、
商品をきれいに見せる光。
が必要です。
全部を同じ明るさ・同じ色の照明にすると、空間が単調になりやすくなります。
逆に、
デザイン性だけを重視して暗くしすぎれば、施術に支障が出ます。
美容室では、
「演出する光」と「仕事をするための光」を分けて考える
のがおすすめです。
POINT07|予算を「均等」に使わない
良い内装をつくるために、すべての場所へ同じようにお金をかける必要はありません。
むしろ、
どこへ予算を集中させるか
が重要です。
たとえば、
入口。
受付。
セット面。
鏡。
照明。
など、お客様の印象に強く残る場所にはしっかり予算を使う。
一方で、
バックヤード。
収納内部。
見えにくい場所。
はシンプルな仕上げにする。
という考え方があります。
また、
造作家具をすべてオーダーするのではなく、
既製品で成立するもの。
造作した方が価値が出るもの。
を分けるのも方法です。
大切なのは、
「安くする」ではなく、「価値が伝わる場所へ予算を使う」
こと。
内装費用については、
→ 02|美容室の内装費用はいくら?
で詳しく解説しています。

美容室の内装でよくある5つの失敗
1|参考写真をそのまま真似する
写真では魅力的でも、自店のターゲットや物件条件に合うとは限りません。
参考画像は、
「何が好きなのか」
を言葉にして使う方が有効です。
2|デザインを優先して収納を減らす
生活感を消したいからと収納を減らしすぎると、営業後に物が表へ出てきます。
結果として、完成写真より実際の店舗の方が雑然とすることがあります。
3|席数を増やしすぎる
売上を考えると席数を多くしたくなりますが、通路が狭くなったり、お客様同士の距離が近くなったりすると、店舗体験が悪くなる場合があります。
4|照明を雰囲気だけで決める
暗い空間は写真では格好よく見えても、髪色の確認や施術に適さないことがあります。
5|予算を決める前にデザインを進める
理想をすべて盛り込んだ後で予算を削ると、
「本当に必要だった部分」
まで削ることになりやすい。
最初から予算上限と優先順位を決めて進める方が、完成度を保ちやすくなります。
「おしゃれな美容室」と「選ばれる美容室」は違う
内装がおしゃれだから、お客様から選ばれる。
とは限りません。
重要なのは、
その美容室が提供したい価値と、空間から感じる価値が一致しているかです。
たとえば、
高単価で落ち着いたサービスを提供したい美容室なのに、席数を詰め込み、店内が常に慌ただしければ、価格と体験が一致しません。
反対に、
短時間・通いやすさを売りにしている美容室なのに、必要以上に豪華な空間へ投資しても、事業として効率的とは限りません。
良い内装とは、
高級な素材を使った空間でも、流行の空間でもありません。
その美容室の事業とブランドに合っている空間。
それが重要です。
内装デザインを決めるおすすめの順番
迷ったときは、この順番で考えると整理しやすい。
STEP01|コンセプトを決める
どんな美容室をつくるのか。
STEP02|ターゲットを決める
誰に来てもらうのか。
STEP03|必要な席数・設備を整理する
事業計画から必要な機能を確認する。
STEP04|レイアウトをつくる
動線と設備位置を決める。
STEP05|空間の世界観を決める
色・素材・照明・家具の方向性を揃える。
STEP06|予算を配分する
どこへお金を使うか優先順位を決める。
STEP07|細部を整える
サイン・小物・収納まで一貫させる。
この順番なら、
「好きな写真を集めて、最後に何とか店舗へ当て込む」
状態を避けやすくなります。
内装とブランドは別々に考えない
美容室では、
ロゴはデザイナー。
店舗は内装会社。
Webは制作会社。
というように、担当者が分かれることがあります。
もちろん、それ自体は問題ありません。
ただし、全員が別々のイメージで作ると、
ロゴと店舗。
店舗とWeb。
WebとSNS。
の印象がバラバラになることがあります。
だから最初に必要なのが、
共通のコンセプトと世界観。
です。
内装はブランドを構成する一つの要素として考える。
そうすると、店舗を訪れる前から帰った後まで、一貫した体験をつくりやすくなります。
→ 14|美容室ブランディングとは?
→ 28|美容室の世界観づくりとは?
まとめ|美容室の内装デザインは「事業を空間にする」こと
美容室の内装デザインで大切なのは、
おしゃれな空間をつくることだけではありません。
誰に来てほしいのか。
どんな価値を提供するのか。
どんな時間を過ごしてほしいのか。
スタッフはどう働くのか。
どこへ予算を使うのか。
そこまで考えたうえで、
色。
素材。
照明。
家具。
レイアウト。
を決めていく。
つまり美容室の内装とは、
コンセプトや事業計画を、実際に体験できる空間へ変換すること。
です。
見た目だけではなく、
使いやすく、ブランドが伝わり、お客様から選ばれる空間になっているか。
そこを基準に考えていきましょう。
→ 03|売れる美容室のコンセプトの作り方
→ 09|美容室のレイアウト設計
→ 02|美容室の内装費用はいくら?
この記事でわかること
- 美容室の内装デザインを考える基本的な順番
- コンセプトを空間へ落とし込む方法
- ターゲットに合った内装をつくる考え方
- 動線・レイアウトとデザインを両立するポイント
- 色・素材・照明を決めるときの考え方
- 予算をかける場所と抑える場所の決め方
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