美容室の内装費用はいくら?
相場・坪単価・費用内訳をプロが完全解説

美容室の内装費用を検討する見積書と図面・素材サンプル

美容室を開業するとき、大きな割合を占めるのが店舗の内装費用です。

「美容室の内装は坪いくらくらい?」
「10坪なら500万円でできる?」
「居抜きならどのくらい安くなる?」
「見積が高いけれど、これは適正なの?」

こうした疑問を持つ方は少なくありません。

ただ、美容室の内装費は単純に「広さ × 坪単価」だけで決まるものではありません。

同じ15坪の美容室でも、物件の状態、給排水設備、電気容量、空調、シャンプー台の数、レイアウト、使用する素材、造作家具などによって、工事費は大きく変わります。

特に美容室は、一般的な物販店舗などと比べて給排水・電気・空調・換気といった設備工事の比重が高い業態です。内装工事には、仕上げだけでなく電気設備、空調・換気、給排水、防災、サインなど多くの工事項目が含まれます。

この記事では、美容室の内装費用について、現在の相場感から坪単価、費用の内訳、金額が高くなる理由、予算を抑えるポイントまで順番に解説します。

この記事でわかること

  • 美容室の内装費用と坪単価の目安
  • 10坪・15坪・20坪で考えた場合の予算感
  • スケルトンと居抜きで費用が変わる理由
  • 美容室の内装見積に含まれる主な工事項目
  • 内装費が高くなりやすい物件の特徴
  • コストを抑えながら店舗の質を落とさない考え方

結論|美容室の内装費は「坪単価」だけで判断しない

美容室の内装費を考えるとき、まず知っておきたいのが、坪単価はあくまで予算を考えるための目安だということです。

2026年時点でも公開データにはかなり幅があります。

店舗デザイン.COMが美容室・理容室・ヘアサロン537件から算出したスケルトン物件のデータでは、坪単価の目安は16.5〜58.3万円、中央値は40万円。ヘアサロン87件に絞ると41.2〜68.6万円、中央値50万円となっています。

一方、ビューティガレージの2026年の記事では、近年の資材費・人件費上昇などを踏まえ、**坪60万円〜**を一つの目安として紹介しています。

この違いは、「どこまでを内装費に含めるか」「物件状態」「店舗規模」「設備仕様」などによって条件が異なるためです。

そのためmiiiyでは、計画の初期段階では、

スケルトンから美容室をつくる場合、まず坪50〜70万円前後を一つの予算検討レンジとして考え、物件調査後に精度を上げる

くらいの考え方が現実的だと考えます。

もちろん、既存設備を活用できる物件なら下がる場合もありますし、設備や素材、造作にこだわれば70万円、80万円以上になることもあります。

大事なのは、

「相場より高いか安いか」ではなく、その見積に何が含まれているのかを確認することです。

美容室の内装費用|坪数別の目安

仮に坪50〜70万円程度を計画段階の目安として考えると、概算は次のようになります。

店舗面積坪50万円の場合坪60万円の場合坪70万円の場合
10坪約500万円約600万円約700万円
15坪約750万円約900万円約1,050万円
20坪約1,000万円約1,200万円約1,400万円
25坪約1,250万円約1,500万円約1,750万円
30坪約1,500万円約1,800万円約2,100万円

これはあくまで計画段階のシミュレーションです。

たとえば20坪のスケルトン美容室について、ビューティガレージの記事では1,200〜1,600万円程度という例も紹介されています。

逆に、既存設備が使える居抜き物件なら工事範囲を大きく減らせることもあります。

そして注意したいのが、店舗が小さければ必ず坪単価も安くなるわけではないということです。

10坪でも20坪でも、分電盤、給湯器、空調、職人の手間、現場管理など、一定程度必要になる費用があります。

そのため小型店舗では、総額は低くても1坪あたりの単価が高くなるケースがあります。ビューティガレージも2026年の記事で、小型物件ほど職人の人工や仕入れのスケールメリットの影響から坪単価が上がりやすい点を指摘しています。

美容室の内装費用は何にかかる?主な費用内訳

美容室の見積を見ると、「壁と床をつくるだけなのに、なぜこんなに高いの?」と感じることがあります。

しかし実際の店舗工事では、目に見える仕上げ以外の工事がかなりの割合を占めています。

主な項目は、解体・仮設工事、間仕切りや造作、床・壁・天井の仕上げ、電気・照明、給排水、給湯、空調・換気、ガス、防災設備、家具、サインなどです。

美容室では特に、給排水・電気・空調の3つが金額を左右しやすいポイントです。

シャンプー台を増やせば給水・排水・給湯設備が必要になります。

ドライヤーや美容機器を複数使用する場合は、既存の電気容量で足りるか確認する必要があります。

さらに空調設備が古い、能力が不足している、換気設備を新設する必要がある、といった物件では工事費が上がります。

つまり、

「見た目をシンプルにすれば内装費は必ず安くなる」わけではありません。

むしろ美容室では、見えない設備部分に必要な予算を確保したうえで、残った予算をどこへデザインとして配分するかを考えることが重要です。

見積書の工事項目・電気・給排水・素材サンプルを確認している手元

内装費用が高くなる7つのポイント

美容室の内装費が高くなる原因を理解しておけば、物件を選ぶ段階から無駄なコストを避けやすくなります。

1|給排水の位置を大きく変更する

美容室で特に重要なのがシャンプー台です。

既存の給排水位置から大きく離れた場所へシャンプー台を配置すると、配管距離が伸びたり、床を上げたりする必要があり、工事費が増える可能性があります。

2|電気容量が不足している

ドライヤー、美容機器、照明、空調など、美容室では多くの電気を使います。

必要容量を確保できない物件では、幹線工事や容量変更などが必要になることがあります。

3|空調・換気設備を新設する

既存設備が使えない場合、新しい空調設備や換気設備の設置費用が発生します。

4|設備位置とレイアウトの相性が悪い

「この位置にシャンプー台を置きたい」という希望が、物件の設備条件と合っていなければ、理想のレイアウトを実現するために余計な工事が必要になります。

5|造作家具が多い

受付カウンター、収納、セット面、棚などをすべてオーダーで造作すれば、当然コストは上がります。

6|素材のグレードが高い

タイル、天然石、特殊塗装、左官、無垢材など、使う素材によって仕上げ費用は大きく変わります。

7|物件契約後に計画変更が増える

工事開始後の仕様変更は、材料だけでなく職人の手間や工程変更にも影響します。

一番コストを抑えやすいのは、工事が始まってから削ることではなく、設計前に予算と優先順位を整理することです。

スケルトンと居抜きでは内装費はどれくらい変わる?

美容室の内装費を大きく左右するのが、スケルトン物件か居抜き物件かです。

スケルトンは、基本的に何もない状態から店舗をつくるため、自由度が高い一方、設備工事を含めて工事範囲が大きくなります。

一方、居抜きは既存のシャンプー設備、配管、電気、空調、内装などを活用できれば、費用を抑えられる可能性があります。

最近のビューティガレージの記事では、目安としてスケルトン60〜80万円/坪程度、居抜きを活用した改装では工事内容によって5〜50万円/坪程度と紹介されています。ただし、居抜きでも給排水位置を大きく変える場合などは、スケルトンに近い費用になる場合があります。

つまり、

居抜き=安い

ではなく、

「既存設備のうち何をそのまま使えるか」で決まる

と考えるのが正確です。

→ 美容室開業は居抜きとスケルトンどっちがおすすめ?

内装費を左右するのは「物件選び」

美容室の内装費を抑えようとすると、仕上げ材を安くしたり、家具を削ったりすることを考えがちです。

でも実際には、工事費を大きく左右する判断は物件契約前に始まっています。

たとえば、

給排水が使いやすい位置にある。
必要な電気容量が確保されている。
空調設備をそのまま利用できる。
希望するレイアウトと設備位置の相性がいい。

こうした物件は、同じ家賃・同じ広さでも工事費を抑えやすくなります。

反対に、家賃が少し安くても、大規模な設備工事が必要なら、開業時の総投資額では高くなることがあります。

だから物件は、

「家賃がいくらか」ではなく、「この物件で美容室をつくると総額いくらかかるか」

まで考えて比較したいところです。

→ 美容室の物件選びで失敗しない方法

空物件で図面と設備位置を確認している設計者・オーナー

美容室の内装費用を抑える方法

コストダウンで大切なのは、安いものを選ぶことではなく、予算を使う場所と使わない場所を決めることです。

お客様が長く滞在し、ブランドの印象に直結するセット面や受付、照明、素材には予算を使う。

一方で、バックヤードや見えにくい場所は仕上げをシンプルにする。

既製品で成立する家具は既製品を使い、空間の象徴になる部分だけ造作する。

そして、既存の給排水・空調・電気設備をできるだけ活用できる物件を選ぶ。

こうしたメリハリのある予算配分の方が、全体を少しずつ安くするより、結果的に店舗の完成度を保ちやすくなります。

また、見積を比較するときは総額だけを比べないこと。

A社800万円、B社900万円だったとしても、A社には空調や照明器具が含まれず、B社には含まれている可能性があります。

同じ工事範囲で比較して初めて、金額差の意味が分かります。

内装費と美容設備は分けて考える

もう一つ、予算計画で混同しやすいのが内装工事費と美容設備・什器費です。

シャンプー台、セット椅子、促進器、ワゴン、ミラー、レジまわり、家電などは、見積の取り方によって内装費に含まれたり、別途購入になったりします。

そのため、

「内装800万円でできる」

と言われたときも、

何が800万円に含まれているのか

を確認する必要があります。

店舗工事だけで開業資金を使い切らず、美容設備、物件取得費、広告・Web、運転資金まで含めて予算を組みましょう。

→ 美容室開業に必要な設備一覧

→ 美容室開業に必要な資金はいくら?

「安い内装」と「投資効率のいい内装」は違う

ここはmiiiyらしさを出す章。

内装費はできるだけ安くしたい。

これは当然の考えです。

ただ、美容室の空間は単なる営業場所ではありません。

お客様が価格をどう感じるか、どんなお店だと記憶するか、写真を撮りたくなるか、また来たいと思うか。

そうしたブランド体験の一部でもあります。

だから内装費を考えるときは、

「いくら削れるか」だけでなく、「どこへ使えば事業に返ってくるか」

という視点も必要です。

たとえば高単価サロンを計画しているのに、顧客が最も長く過ごすセット面や照明の質を削りすぎれば、価格と空間の印象が合わなくなる可能性があります。

逆に、バックヤードまで高級素材で仕上げても、お客様に伝わる価値は限定的です。

必要なのは豪華な内装ではなく、

事業コンセプトと予算に合った内装です。

 

→ 美容室の内装デザインの考え方

→ 美容室のレイアウト設計

完成したサロンの素材・照明・セット面の上質なディテール

内装業者を選ぶときに確認したいこと

内装業者を選ぶときも、金額だけで決めない方がいい。

美容室は設備工事の比重が高いため、美容室・サロンの施工経験がある会社であれば、給排水、電気容量、シャンプー設備、保健所対応などを含めて計画しやすくなります。

見積では、

「どこまでが含まれているか」
「別途工事は何か」
「追加費用が発生しそうな項目は何か」

を事前に確認しておきましょう。

また、設計と施工を同じ会社へ依頼する方法もあれば、設計と施工を分ける方法もあります。

どちらが正解というより、予算・デザイン・工期・管理方法まで含めて、自分のプロジェクトに合う体制を選ぶことが重要です。

美容室の内装費でよくある失敗

内装費で失敗しやすいのは、

「予算を決めずにデザインから始める」
「安い物件を先に契約する」
「坪単価だけで業者を比較する」
「設備費を内装予算に入れ忘れる」
「工事後の運転資金を残していない」

といったケースです。

特に、内装工事に使える金額は、開業資金全体から逆算して決める必要があります。

理想の店舗が完成しても、OPEN後の資金がほとんど残っていなければ、経営は厳しくなります。

内装予算を決める前に、事業計画と資金計画を一度整理しておきましょう。

→ 美容室の事業計画書の作り方

→ 美容室開業で失敗する人の共通点10選

まとめ|美容室の内装費は「総額」と「中身」で判断する

美容室の内装費は、坪単価だけで正確に判断することはできません。

坪単価は初期予算を考えるには便利ですが、最終的な費用は、

物件状態、設備、レイアウト、店舗規模、素材、造作、工事範囲によって変わります。

だから最初から、

「坪○万円だからこの物件なら○万円」

と決め切るのではなく、

① 開業全体の予算を決める
② 内装に使える上限を決める
③ 物件を調査する
④ レイアウトと必要設備を整理する
⑤ 見積の中身を確認する

という順番で考えるのがおすすめです。

安くつくることだけを目的にするのではなく、

限られた予算を、どこへ使えばその美容室の価値につながるのか。

そこまで考えることで、内装は単なる「開業コスト」ではなく、これから美容室を運営していくための投資になります。

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