美容室ブランディングとは?
価格競争から抜け出し“選ばれる美容室”をつくる方法

美容室のコンセプト資料や内装写真、カラーパレットを囲んでブランド設計を行う打ち合わせの様子

美容室を経営していると、

「価格競争から抜け出したい」
「クーポンに頼り続けたくない」
「他店との違いをうまく伝えられない」
「技術には自信があるのに、なぜか選ばれない」
「もっと自分たちらしい美容室をつくりたい」

と感じることがあります。

そこで重要になるのが、美容室のブランディングです。

ただし、ブランディングというと、

ロゴをつくる。
内装をおしゃれにする。
ブランドカラーを決める。
Instagramの投稿を整える。

といった「見た目のデザイン」を想像する方も多いと思います。

もちろん、それらもブランディングの一部です。

でも、本質はもっと広い。

美容室のブランディングとは、

「なぜこの美容室を選ぶのか」という理由を明確にし、それをお客様が体験できる形にしていくことです。

誰に来てほしいのか。
どんな価値を届けるのか。
どんな空間で過ごしてもらうのか。
どんな接客をするのか。
どんな言葉・写真で発信するのか。
どんな価格で提供するのか。

これらが一つにつながることで、

「この美容室、なんか好き」

ではなく、

「自分にはこの美容室が合っている」

という選ぶ理由が生まれます。

この記事では、美容室ブランディングの基本から、ブランドを構成する要素、価格競争から抜け出す考え方、実際につくっていく順番まで詳しく解説します。

この記事でわかること

  • 美容室ブランディングの本当の意味
  • ブランドとロゴ・デザインの違い
  • 価格競争に巻き込まれにくい美容室の考え方
  • 美容室ブランドを構成する重要な要素
  • 空間・接客・Web・SNSを一貫させる方法
  • 選ばれる美容室ブランドをつくる具体的な手順

美容室ブランディングとは「選ばれる理由」を設計すること

ブランドというと、

有名。
高級。
おしゃれ。

といったイメージを持つかもしれません。

でも、ブランドは必ずしも高級である必要はありません。

大切なのは、

「この美容室は、こういう人にこういう価値を届けてくれる場所」

というイメージがお客様の中にできていることです。

たとえば、

忙しい大人女性が落ち着いて過ごせる美容室。
メンズの第一印象を整える専門サロン。
髪質改善を長期的に任せられる美容室。
一人で静かに過ごせるプライベートサロン。

など。

これが明確になるほど、

「美容室ならどこでもいい」

ではなく、

「それならここに行きたい」

へ変わります。

美容室ブランディングとは、見た目を整えることではありません。
誰に、どんな価値を届け、どんな美容室として記憶されたいのかを設計することです。

「ブランド」と「デザイン」は同じではない

ロゴ。
カラー。
内装。
Webサイト。

はブランドを伝えるための手段です。

それ自体がブランドではありません。

たとえば、

高級感のあるロゴをつくった。

でも接客は慌ただしい。

内装は落ち着いている。

でもSNSは派手で若年層向け。

Webサイトでは「丁寧なカウンセリング」と書いている。

でも実際のカウンセリングは5分で終わる。

この状態では、デザインは綺麗でもブランド体験はバラバラです。

反対に、

コンセプト。
言葉。
空間。
接客。
写真。
価格。

が同じ方向を向いていれば、

お客様は来店する前から来店後まで、

「この美容室らしい」

と感じることができます。

なぜ美容室にブランディングが必要なのか

美容室を探すお客様は、

Google。
Instagram。
Webサイト。
予約サイト。
口コミ。

などを見ながら、複数の美容室を比較します。

そのとき、

カット。
カラー。
トリートメント。

といったメニューだけで比較すれば、違いが分かりにくくなります。

違いが分からなければ、

立地。
料金。
クーポン。
口コミ件数。

といった比較しやすい条件が判断材料になります。

そこで必要なのが、

「この美容室を選ぶ理由」

です。

技術だけではなく、

専門性。
考え方。
人。
空間。
体験。
世界観。

まで伝われば、単純な価格比較から少しずつ離れやすくなります。

価格競争から抜け出すとは「高くすること」ではない

ブランディングというと、

「高単価にする方法」

と考えられることがあります。

でも、

価格を上げること自体がブランディングではありません。

お客様が、

なぜこの価格なのか。

何に価値があるのか。

他店との違いは何なのか。

を理解できる状態をつくる。

その結果として、価格だけで比較されにくくなる。

これが重要です。

同じ10,000円でも、

「カット+カラーだから10,000円」

と、

「自分の悩みを理解してくれて、提案から空間・仕上がりまで含めてこの体験なら10,000円」

では、受け取り方が違います。

→ 05|美容室の客単価を上げる方法

ブランドは「来店前・来店中・来店後」のすべてでつくられる

美容室のブランド体験は、店舗に入った瞬間から始まるわけではありません。

来店前

  • Instagram。
  • Google。
  • Webサイト。
  • 写真。
  • 口コミ。
  • 予約画面。

ここですでに、

「こういう美容室なんだろうな」

という期待が生まれます。

来店中

  • 外観。
  • 入口。
  • 受付。
  • 香り。
  • 音。
  • 照明。
  • スタッフ。
  • カウンセリング。
  • 施術。
  • 会計。

によって、来店前につくられた期待が本当だったか判断されます。

来店後

  • 仕上がり。
  • 自宅での再現性。
  • フォロー。
  • LINE。
  • 次回提案。

まで含めて、

「またお願いしたい」

という印象が残ります。

つまり、

ブランドは広告だけでつくるものではなく、すべての接点の積み重ねでつくられます。

ということです。

美容室の空間写真や素材サンプル、カラースウォッチを見ながらブランドの方向性を検討する様子

美容室ブランディングを構成する6つの要素

01|ターゲット

最初に決めるのは、

誰から選ばれたいのか。

です。

年齢や性別だけではなく、

どんな生活をしているのか。
何に悩んでいるのか。
美容室に何を求めているのか。
どんな時間を過ごしたいのか。
何にお金を使いたいと思うのか。

まで考えます。

「20〜40代女性」

だけでは広すぎます。

たとえば、

仕事と子育てで忙しく、自分の時間を大切にしたい30〜40代女性

まで具体化すると、

空間。
営業時間。
メニュー。
接客。
写真。

まで考えやすくなります。

→ 03|売れる美容室のコンセプトの作り方

02|提供価値とブランドコンセプト

次に、

その人に何を届ける美容室なのか

を決めます。

ここで大切なのは、

「カットが得意」

だけではありません。

技術によって、

どんな悩みが解決されるのか。

どんな気持ちになれるのか。

どんな日常へ変わるのか。

まで考える。

たとえば、

「髪質改善専門」

から一歩進めて、

髪に悩む大人女性が、毎朝自分の髪を好きになれる美容室

のようにすると、ブランドの方向が見えてきます。

03|言葉とビジュアル

コンセプトを伝えるために、

店名。
ロゴ。
ブランドカラー。
フォント。
写真。
コピー。
言葉遣い。

などを整えます。

ここで重要なのは、

「おしゃれか」より「意味がつながっているか」。

です。

落ち着いた大人女性向けなのに、

原色のロゴ。
派手な写真。
若すぎるコピー。

では違和感が出ます。

逆に、

ブランドのキーワードを決めておくと、

デザイン判断がしやすくなります。

たとえば、

静か / 上質 / 自然 / 余白 / 丁寧

と決めたなら、

写真。
色。
素材。
文章。

もそこへ合わせていく。

04|空間デザイン

美容室にとって店舗は、

ブランドを実際に体験する場所

です。

Webサイトで、

「落ち着いて過ごせる美容室」

と伝えていても、

席間が狭い。
人の出入りが多い。
BGMが大きい。

ならブランドの約束と体験が一致しません。

だから、

レイアウト。
素材。
照明。
家具。
色。
音。
香り。

までコンセプトから考えます。

→ 06|美容室の内装デザインの考え方

→ 09|美容室のレイアウト設計

店舗デザインは「ブランドを飾るもの」ではありません。
ブランドで約束した価値を、お客様が実際に体験するための場所です。

05|接客・サービス

ブランドはスタッフの行動にも表れます。

たとえば、

静かに過ごせる大人向けサロンなのに、

必要以上に会話を続ける。

丁寧なカウンセリングを掲げているのに、

毎回質問内容がバラバラ。

では一貫性がありません。

接客では、

カウンセリング。
言葉遣い。
距離感。
提案。
待ち時間。
会計。
お見送り。

まで考えます。

スタッフが複数いる美容室なら、

「台本を完全に統一する」

というより、

何を大切にするブランドなのかを共有する

ことの方が重要です。

→ 11|美容室のリピート率を上げる方法

06|Web・SNS・予約導線・価格

お客様が最初にブランドへ触れるのは、店舗ではなくオンラインであることも多い。

だから、

店舗は高級感があるのにWebサイトが古い。

Instagramだけ世界観が違う。

写真ごとに色味がバラバラ。

予約画面で急に安売りクーポンが並ぶ。

という状態は避けたい。

店舗。
Web。
SNS。
写真。
価格。
予約導線。

まで、

一つのブランドとしてつなげる。

→ 07|美容室の集客方法7選

美容室のWebサイトやSNS画面を見ながら世界観の統一を確認する打ち合わせの様子

「統一感」は全部同じデザインにすることではない

ブランディングで、

「統一感を出しましょう」

と言うことがあります。

でも、

全部同じベージュにする。

全部同じフォントを使う。

すべて同じ写真構図にする。

という意味ではありません。

大切なのは、

同じ価値観を感じられること。

です。

たとえば、

Instagramは軽やか。

Webサイトは情報が詳しい。

店舗は静か。

でも全部に、

「丁寧」
「自然体」
「余白」

という共通した価値観がある。

これなら表現方法が違っても、一つのブランドとしてつながります。

美容室ブランディングでよくある5つの失敗

1|先にロゴをつくる

コンセプトが曖昧な状態でロゴをつくると、

あとからブランドの方向が変わり、すべて作り直すことがあります。

2|「おしゃれ」をゴールにする

おしゃれでも、

誰のための美容室なのか。

何が違うのか。

が分からなければ、選ぶ理由にはなりません。


3|ターゲットを広げすぎる

「誰でも来てほしい」

とすると、

言葉もデザインもサービスも曖昧になります。

結果として、

誰にも強く響かないブランドになりやすい。

4|店舗と発信がつながっていない

SNSではナチュラル。

店舗はラグジュアリー。

接客はカジュアル。

では、お客様が何を期待すればいいか分かりません。

5|ブランドを一度つくって終わりにする

OPEN時につくったコンセプトが、

数年後も完全に同じとは限りません。

お客様。
スタッフ。
地域。
メニュー。

が変われば、ブランドも調整が必要です。

ただし毎年別のブランドに変えるのではなく、

核となる考え方は残しながら、表現を育てる。

という考え方が重要です。

美容室ブランドをつくる7STEP

STEP01|誰から選ばれたいかを決める

ターゲット・ペルソナを整理します。

STEP02|その人の悩み・欲求を理解する

美容室に何を求めているのかを考えます。

STEP03|提供価値を決める

自分たちは何を提供する美容室なのか。

STEP04|ブランドコンセプトを言語化する

一言で方向が分かる状態にします。

STEP05|言葉・ロゴ・カラー・写真へ変換する

ブランドの見せ方をつくります。

STEP06|店舗・接客・Web・SNS・価格へ落とし込む

お客様が触れるすべての場所を整えます。

STEP07|営業しながらブランドを育てる

お客様の反応や数字を見て改善します。

ブランドガイドをつくっておくと判断がブレにくい

規模の大きなブランドだけでなく、美容室でも簡単なブランドガイドをつくっておくと便利です。

たとえば、

ブランドコンセプト。
ターゲット。
ブランドキーワード。
ブランドカラー。
フォント。
写真の方向性。
文章のトーン。
使わない表現。

など。

新しい広告をつくる。

スタッフを採用する。

SNS投稿をつくる。

店舗を改装する。

といったとき、

「ブランドに合っているか?」

という共通の判断基準を持てます。

ブランディングが機能しているかは「反応」で確認する

ブランドは、

作った人が「良い」と思って終わりではありません。

実際に、

どんなお客様が来ているか。

何を理由に選ばれているか。

どんな言葉で口コミされているか。

再来しているか。

紹介が起きているか。

などを見る。

たとえば、

「落ち着いて過ごせるサロン」

を目指したのに、

口コミでその点がほとんど語られない。

なら、

まだ十分に体験として伝わっていない可能性があります。

ブランドは、

自分たちが伝えたいことと、お客様が感じていることの差を少なくしていく作業

でもあります。

統一された空間デザインの美容室で美容師がお客様に施術しブランド体験を提供する様子

リニューアルでもブランディングはできる

ブランディングは、新規開業だけの話ではありません。

既存美容室でも、

客層が変わった。

価格帯を見直したい。

スタッフが増えた。

今の内装とブランドが合っていない。

Web・SNSが古くなった。

というタイミングがあります。

この場合も、

いきなりロゴや内装を変えるのではなく、

今のお客様からどう見られていて、これから誰から選ばれたいのか

を整理するところから始めます。

そのうえで、

残すもの。

変えるもの。

新しく加えるもの。

を決める。

これは店舗リニューアルでも同じです。

ブランディングは「経営」と「デザイン」をつなぐもの

ブランディングをデザインだけの話にすると、
見た目は綺麗でも経営につながらない。
逆に、
数字だけで経営すると、
お客様から見た魅力が伝わらない。
だから、
事業計画。
ターゲット。
価格。
サービス。
という経営側の考え方と、
ロゴ。
空間。
Web。
写真。
というデザインをつなげる。
その役割を担うのがブランド設計です。

ブランディングは、経営とは別に行う「デザイン作業」ではありません。
事業の考え方を、お客様に伝わる体験へ変換するための経営設計です。

まとめ|ブランドとは「この美容室だから選びたい」をつくること

美容室ブランディングとは、

ロゴをつくることでも、

内装をおしゃれにすることでもありません。

誰に。

どんな価値を。

どんな体験として届けるのか。

を明確にし、

コンセプト。
言葉。
デザイン。
空間。
接客。
Web・SNS。
価格。

まで一つにつなげることです。

そうすることで、

「安いから」

「家から近いから」

だけではなく、

「この美容室だからお願いしたい」

という理由が生まれます。

強いブランドとは、派手なブランドではありません。
お客様が「ここは自分に合っている」と迷わず感じられるブランドです。

 

コンセプトから整理したい方は、

→ 03|売れる美容室のコンセプトの作り方

店舗空間へ落とし込みたい方は、

→ 06|美容室の内装デザインの考え方

集客とのつながりを確認したい方は、

→ 07|美容室の集客方法7選

再来まで含めて整えたい方は、

→ 11|美容室のリピート率を上げる方法

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